障害年金の請求パターンを知っておこう|社会保険労務士事務所 ほほえみ障害年金Labo
2021/06/03
1.障害認定日請求
障害年金の請求手続きは、原則として、初診日から1年6か月を経過した日(障害認定日)の障害状態を基準として行います。
この方法で障害年金を請求することを障害認定日請求といいます。
ただし、初診日から1年6か月を経過する前に治った場合(症状が固定し、治療の効果が期待できない状態となった場合)は、例外として、1年6か月を経過していなくても、その治った日を基準として、障害年金の請求を行うことができます。
例えば、人工関節を挿入置換した場合は「人工関節を挿入置換した日」、人工透析療法を行っている場合は「透析開始日から3か月を経過した日」などが治った日となり、その日が障害認定日となります。
なお、障害認定日請求は、請求の時期により、本来請求と遡及請求に分けられます。
①本来請求
障害認定日から1年以内に請求する場合をいいます。
この場合、障害認定日から3か月以内の障害状態で作成された診断書が必要となります。
②遡及請求
障害認定日から1年以上経過してから請求する場合をいいます。
この場合、障害認定日から3か月以内の障害状態で作成された診断書と、請求日以前3か月以内の障害状態で作成された診断書の2枚が必要となります。
遡及請求を行う場合、年金の支給を受ける権利(支分権)は、会計法の規定により、5年を経過すると時効によって消滅する為、最大5年分までしか遡っての受給はできない点に注意が必要です。
例えば、障害認定日の12年後に遡及請求をした場合、請求日から過去5年分しか支給されず、残りの7年分は受給することができないということになります。
2.事後重症請求
障害認定日の時点では、障害年金を受給できるほどの障害状態にはなかったものの、その後悪化し、65歳に達する日の前日までに障害等級に該当する程度の障害状態となった場合の請求のことを事後重症請求といいます。
また、障害認定日に障害等級に該当していなかった場合だけでなく、受診歴がなかったり、カルテが破棄されしまっていたりなどの理由で、障害認定日時点の診断書の取得ができないような場合も、事後重症請求をすることとなります。
この場合、請求日以前3か月以内の障害状態で作成された診断書が必要となります。
請求の結果、障害等級に該当していると認定されると、請求日が受給権発生日となり、その翌月分からの年金が支給されます。
なお、事後重症請求は、65歳の誕生日の前々日までしか行うことができません。
また、老齢基礎年金の繰上げ請求をすると、年金上は65歳に達したと判断される為、事後重症請求はできません。
3.初めて2級以上に該当したことによる請求
障害等級の2級以上に該当しない程度の障害を持っている人に、新たに別の障害が発生した場合に、既存障害と新たに発生した障害を併合することで、初めて2級以上の障害に該当した場合の請求のことを初めて2位級以上に該当したことによる請求といいます。
この請求方法の場合、後発の新たに発生した傷病に対する初診日を基準として、初診日要件と保険料納付要件を満たしているかが判断されます。
一方、前発の障害にまつわる初診日要件や保険料納付要件は一切問われることはありません。
請求の結果、障害等級2級以上に該当していると認定されると、請求日の翌月分からの年金が支給されます。
なお、受給権発生日は「障害等級に該当することが確認できた日」である為、この日が65歳の誕生日の前々日までにあれば、65歳以降でも請求可能です。
請求日が受給権発生日より1年以上経過してから請求する場合は、受給権発生日の障害状態で作成された診断書が必要となります。